みなさんは、藤原和博さんという方をご存知ですか?

リクルート社で活躍したあとに起業で成功。
その後、都内の公立中学校で校長、大阪府知事の特別顧問などを務めます。
そして現在は、奈良市立一条高校の校長先生です。

信念をもって時代を渡り歩いてきたのがわかりますよね。

そんな藤原さんの著書『10年後、君に仕事はあるのか?』を読んだので、レビューしたいと思います。

『10年後、君に仕事はあるのか?』のテーマ

AIの進歩によって多くの職業が消滅すると言われる将来を、どのように生き抜けばよいのか。
どんな力が必要とされているのかが、この本のテーマです。

おもに高校生に語りかける口調で書かれ、ところどころで大人への問いかけも。
著者の経験や鋭い分析に基づくアドバイスの数々は、「人生の教科書」と呼ぶにふさわしい内容です。

1冊をとおして繰り返されている主張は、「情報編集力」の重要性。

これからのA.I時代、ただ学力が高いだけでは仕事がないんですね。
正解がない問題に対して試行錯誤しながら「納得解」を作り出す力が必要なんだそうです。
情報の編集者になることによって、人間にしかできない仕事を獲得していけるということでしょう。

私が「なるほど!」と思ったところ

この本から得られた気づきはとても多いのですが、とくによかったところをシェアしたいと思います。

AIは、学ぶ喜びを教えることはできない

AIの時代には、多くの職業が失われると言われています。
学校で学ぶ知識はすべて、ネット動画で得ることもできるでしょう。

それでも著者は、教師の仕事がなくなることはないと言います。
それは、AIには学ぶ喜びを教えることまではできないから。

じつは子どもというのは、教える大人というよりも、学んでる大人から多くを学ぶそうなんですね。
先生たちが楽しく授業をしているとき、先生の「学ぶのが好き!」というオーラが子どもたちに”感染”していくらしいんです。

たしかにそうかもしれないですね。
AIには、自らが楽しく学んでいる姿を見せることはできません。

きっと、ほかの職業も同じなんでしょうね。
AIにとって代わられるものは確かに多い。
人間にしかできない感情的な部分に注目するのが大切なのでしょう。

成人は40歳と考えればよい

現在は20歳で成人とされていますが、これって、平均寿命が50歳前後だった明治時代に決められたものなんですね。
江戸時代はさらに短命だったから、15歳でも大人として扱われました。
そう考えると、平均寿命が延びた現在なら、成人は40歳ぐらいが妥当だろうというのです。
おもしろいですよね。

そう考えると、40歳になるまではやりたいことを思う存分やって、たくさん失敗してもいいかなと思える気がします。
新しいことにいろいろ挑戦して、40歳以降での成功に結びつければいいんだと考えると、勇気が出ました。

キャリアの掛け算で勝負する

人にできない仕事は高く評価されますね。希少性がある仕事です。
でも、よほど優秀でなければ、唯一無二の仕事なんてできないですよね。

そこで著者は、キャリアの掛け算で希少性を得るようにと提案しています。

ずっと1つの職業だけを行なうのではなく、3つのキャリアを5年から10年ずつ経験して、その掛け算によって唯一無二の存在になれるということです。

複数キャリアの強みに関しては、いろいろなところでよく言われていると思います。
本書ではそこをかなり具体的に、どのように希少性を獲得し、発揮していけば良いのか説明していました。

もうほとんどの人が気づいているように、今は終身雇用の時代ではありません。
私たち大人も、しっかりとビジョンをもって、希少性を獲得していかなければなりませんね。

まとめ

『10年後、君に仕事はあるのか?』は、AI時代にどのように自分の価値を高めていくべきかを教えてくれます。
将来について考える高校生はもちろん、ライフデザインを検討中の大人にも、価値ある情報が多いと感じました。

この記事で挙げたのは、本書の魅力のほんの一部。
気になった方は、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。